先客は1人。
名簿には北区王子(ん?)と書いてあるオヤジである。
身支度を整え、再び宿に戻り、そのオヤジと世間話をしてヒマを潰す。
やがて若船長と若女将がやってくると、そろそろ船が宿裏の海岸に着く時刻も近い。
既に6、7名になっている客と共に裏の海岸に出た。
それにしても常連の姿が見えないのはナゼか?
先客のオヤジによれば、午前船の釣果が芳しくなく、乗船を控えているらしいとのこと。
新聞でも雑誌でも『走水、復調』と書いているが、まだダメなのか?
一抹の不安がある物の、やってきた船を見たら不安は吹き飛んだ。


6時30分乗船開始。
名簿順だから私が2番目、右舷大艫(おおども)に陣取る。
これは期待ができる。
隣の兄ちゃんは海福丸が初めてらしく、勝手が分からない様子なので、少しだけ面倒をみてやる。
寒いと思っていたが陽が昇るにつれ、暑くなってきた。
出船にはまだ時間があるので車に戻り雨ガッパに着替える。
船に戻ると1番のオヤジが潮止まりが10時半頃であることと潮流がブッ飛びであることを教えてくれた。
追加のオモリは30号が1個あるから特に取りには行かず、これで対応することにした。

午前7時30分、海福丸は片舷8名で海岸を離れた。