15ノットと、比較的低速、しぶきも大したことはない。
それもそのはず、着いたのは大津海岸中央の約1Km沖合である。
7時45分、海福丸名物、梅澤若船長のしつこい探索の後、アナウンスが入る。
「はい!じゃあね、この辺は27〜8m、タナは底から3m。始めてください」
予めほぐしておいたイワシミンチをアンドンにパンパンに摘め、投入。
あれ?意外と素直に落下していくぞ?
まあ、タナ取りしやすいに越したことはない。
リールのカウンターは31.7mを示している。
やや粘っこい手応えなので泥底だろう。
キッチリとタナ取りし、魚信を待つ。


いくら大ドモと言え、一投目から魚信があるのはマレである。
魚信(あたり。魚が針に掛った印)はあるが妙に小さい。
小アジかイワシであろう。
1時間程粘るが型を見ず、そのまま猿島寄りに移動。
それでも魚信がない。
船中も同様らしい。
そこでトイレに行き、戻ってみると、隣の兄ちゃんから驚愕の事態を告げられた。
「前の方のジイさん、マダイを上げましたよ」
見れば同じ右舷胴の前に座る60過ぎのジイさんが桜赤色の魚体を手にしている。
大ドモに座する者として、沖釣り男塾々長として、負けるわけには行かない。
一層の気合いが入る。