何とか丸ボウズ(何も釣れないこと)だけは避けようとタナを下げてもぜーんぜん魚信がない。
ちーっとも食わない。
今ここに知り合いがいたら、コワレた私の姿を見られたコトだろう。
こういうときは時間が経つのが妙に早い。
何の型も見ぬまま、ついに無情のアナウンスが入る。
「はい!あと10分で上がっていきます。」
私は天を仰いだ。
11時40分、納竿。
大ドモに座しながらアジ・サバの本命どころか、つまらん外道すらない釣果ゼロの丸ボウズ。
しかも竿は折るわ、ビシは取られるわ、糸の巻き替えけっていだわと完璧なヘタレである。


すっかりコワレた私を乗せた海福丸は12時ちょうど、走水漁港に到着した。
待ち合い所では既に『お詫びイカ(船中釣果が芳しくない時に配られる。別名、屈辱のイカ、ヘタレイカと呼ばれる)』が用意されている。
それを受取り、足早に家路についた。

船中釣果は25〜38cmアジ・0〜6。45cmイナダ・1。35cmマダイ・1。35cmイシモチ・1他、トラギス・カサゴ0〜5であった。


(完)